取り組み013

ニート引きこもり.gifニート・引きこもりへの支援

【背景・概要】

ニート・引きこもりとは

 最近、「NEET(ニート)」とよばれる若者のことが、行政やマスコミ等で取り上げられています。「NEET」とはイギリスの労働政策で使われていた用語で、「Not in Education, Employment or Training」の略語であり、「労働市場にも学校にも訓練の場にも属さない若者」を指しています。

 「NEET」の増加は、若者自身の人生の上でも、さらに大きな視点から言えば、社会保障制度の担い手の不足や、労働力の減少による経済成長の低下など社会全体へも深刻な影響を与え得る問題です。

 厚生労働省の平成16年版労働経済白書によれば、「NEET」に該当する若者の人数について「非労働力人口のうち、特に無業者として、年齢は、15~34歳、卒業者、未婚者であって、家事・通学をしていない者に限って集計したところ、2003年には52万人」となっています。

 一昔前まで、社会的自立や対人スキルなどの基礎的な力は、企業によって培われてきました。しかし、バブル経済の崩壊後、企業の教育機能は急速に失われ、正規雇用は減少し、フリーターが急増しました。さらにニート状態の若者や引きこもりが増加したのです。

 生きていくための訓練を受けにくい社会――それが現代の日本だといわれています。

若年者雇用対策について

 総務省の労働力調査(平成17年9月)によると、最近の完全失業率は低下傾向にあるものの、依然として若年者の失業率の高さが目立っています。

 現在、非正規雇用者の数は1750万人とも1800万人とも言われています。そうした中、ニートが正規雇用を目指しても、2000万人ものライバルがいるのだから相当厳しいわけです。まずはアルバイトができるようになることが先決です。

 このような状況を受け、厚生労働省は、若者の職業能力の向上を図る「若者自立塾」の創設など、若者の自立支援を展開しています。

○若者自立塾

 厚生労働省がNPO等に事業を委託している施設で、相当期間、教育訓練も受けず、就労することができないでいる若年者に対し、合宿形式による集団生活の中での生活訓練、労働体験などを通じて、社会人、職業人として必要な基本的能力の獲得、勤労観の醸成を図るとともに、働くことについての自信と意欲を付与することにより、就労等へと導くことを目的としています。

若者自立塾ポータルサイト
(30カ所の実施状況を調べることができます)

地域若者サポートステーション

○ジョブカフェ

 ジョブカフェは通称で、正式名称は「若年者のためのワンストップサービスセンター」といいます。その名のとおり、若者が自分に合った仕事を見つけるためのいろいろなサービスを1か所で、すべて無料で受けられる場所です。

 現在、全都道府県で設置されています。その多くは県庁所在地にありますが、地域によってはサテライトという出張所を作ってサービスを行っているところもあります。

 また、各地域の特色を活かして就職セミナーや職場体験、カウンセリングや職業相談、職業紹介などさまざまなサービスを行っています。また、保護者向けのセミナーも実施しています。

各都道府県のジョブカフェ設置状況
(平成19年8月6日現在) 

課題

 しかし、これらの取り組みで十分というわけではなく、今後のポイントとして、このような自立できない若者を発見し、これらの支援を行う場所へ引き出し誘導するシステムが必要となっています。

 高知黒潮若者自立塾では、県の教育委員会が労働問題を抱える若者や発達障害を持つ若者などの情報を集約し、地域若者サポートステーションや若者自立塾と連携をとるというシステムを構築し、効率的に発見できるシステムを作っています。

 東京都足立区のあだち若者サポートステーションでは、生活保護家庭におけるニート状態の若者に家庭訪問を実施し、サポートステーションや自立塾へ誘導する事業を展開しています。

 また、家庭訪問をできる人材の育成事業を展開が必要とされています。

【平成19年12月議会にて質問】

 以下、議会での質問です。

 続きまして、ひきこもりやニートなどの若年者の雇用対策についてお伺いします。

 厚生労働省の発表によりますと、15歳から24歳の失業率は平成15年の10.1%を境に平成18年度では8.0%と改善が進んでいるとなっています。しかし、失業率はハローワークに行った人数でしか掌握されず、就職情報誌による活動をしている人達や、あきらめて就職活動をしていない潜在的失業者は掌握されず、実質は依然深刻な状況であるといわれております。また新卒者の就職率が大きく改善されたため、15歳から24歳のフリーターは約30万人減少しておりますが、25歳以上はほとんど変わっていません。ニートでもほとんど同じ状況です。

 こうした若年者に正規雇用への就労支援として、国ではジョブカフェやトライアル雇用による就職支援を行い、またそこに至るまでの前段階として地域若者サポートステーションや若者自立塾の設置をされました。

 池田市においても、若年者の「居場所づくり」や「家庭から出るための施設」として、社会教育施設や水月児童文化センターでそうした取り組みがなされているとのことですが、その詳細と現状についてお伺いします。

 そして今後のポイントとして、このような自立できない若者を発見し、これらの支援を行う場所へ引き出し誘導するシステムが必要となっています。

 高知県では、教育委員会が労働問題をかかえる若者や発達障害をかかえる若者の情報を集約し、サポートステーションや自立塾と連携をとるシステムを構築しています。これにより、支援を必要とする若者を効率的に発見できるよう取り組んでいます。また東京足立区のサポートステーションでは、生活保護の家庭内のニート状態の若者に家庭訪問を実施して、サポートステーションや自立塾へ誘導する事業を展開しています。これは、生活保護をうけて親の働く姿を見ていない子供は働けなくなる「負の連鎖」を断ち切るための取り組みであるとのことです。

 このように支援を必要とする若者の発見・誘導システムの構築が必要となってきていますが、池田市としてどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。具体的には、臨床心理士やスクールカウンセラーなどの方が教育委員会と連携して、進路未決定者や高校中退者に手を差し伸べるようなシステムが構築できないかお伺いいたします。

 併せて、そういった人材の確保として、現在池田市では二十数名の臨床心理士や心理指導員の方がおられますが、今後の人事配置についてお尋ねいたします。

【再質問】

 ひきこもりやニートというと、甘えであるととらえられがちですが、生きていくための基礎的な訓練を受けられていない状態に陥っているという捕らえ方もあります。一昔前までは、社会的自立や対人スキルなどの基礎的な力は企業によって培われていましたが、バブル経済の崩壊後、企業の教育機能は急速に失われ、現在の若者は食べていくための訓練から遠ざかっているというのです。これは、尊厳を持って生きることができないということで、人権侵害みたいなものだということです。

 こういった若者たちに手を差し伸べるのが国の仕事であり、それを補完するのが地方の役割ではないかと思います。そういったシステム作りが急務であると思われます。それも、いきなり正規雇用を目指すといったものではなく、ひきこもりやニートの若者に家庭訪問を実施し、サポートステーションや自立塾へ誘導するといった事業が必要と思われます。

 そこで家庭訪問による発見・誘導ついてですが、家庭訪問といっても簡単な話ではなく、かなりの専門知識と経験が必要とされ、通常、キャリア・コンサルタントや臨床心理士、スクールカウンセラーなどが考えられます。

 当市の場合は文教都市でもあり多くの教職員OBの方もおられると思います。こういった方々に例えば、家庭訪問に特化した教職員OB会として、教育委員会と連携をとりながら取り組んでいただくことも可能だと思います。または、シルバー人材センターに新たにそういった分野にも取り組んでいただき、教職員OBの登録をしていただくことも検討できるのではないでしょうか。

 いずれにしましても、団塊の世代の教職員OBの貴重な経験をこれからどれだけ活用していただくかが大切であると考えます。改めて市長の御所見をお伺いします。

【答弁】

以下、上記質問に対する答弁です。

(倉田市長) 公明党多田議員さんのご質問にお答えを申し上げたいと思います。
 多田議員さんから私に対するご質問は、いわゆる若年者雇用の問題、引きこもり、あるいはニート等への対策ということでございます。
 ニートというのは、もうご承知のとおり、仕事をしていない、あるいは学校に行っていない、あるいは職業訓練も受けていない15歳から34歳の若者を指しているようでございます。引きこもりやニートについては、その数は、引きこもりが約300万人、今申し上げましたニートが約62万人と推測をされております。引きこもりやニートについては、社会への順応性を身につけることが重要でありまして、本市においてはこれまで大阪府の若者就労自立支援センター、いわゆるニートサポートクラブと連携して、現在まで数名のご相談に応じているところであります。また、要請があればNPO法人が運営する若者自立塾を紹介する体制も整えており、今後とも若者が元気に活動できるように支援に努めてまいる所存でございます。
 いわゆる若者自立塾の問題でありますが、これは平成19年度、全国で約30の団体があるようでございまして、大阪府下では2つの団体が存在をしているというふうに聞いております。ちなみにこの2つは、泉佐野市にありますNPO法人おおさか若者就労支援機構、あるいは高槻市にありますNPO法人フェルマータの2カ所であるというふうに認識をいたしております。自立できない若者の発見、誘導等については、人権問題など難しい側面があるものと認識をいたしておりまして、本人や家族からの相談をもとに、可能な対応を図ってまいりたいと思っております。
 また、臨床心理士等の人材の確保あるいは育成については、非常に専門的な分野であることを踏まえて、この分野のエキスパートであるNPO法人や池田子ども家庭センターなどと連携しながら、包括的な支援に努めていきたいと思っております。いわゆる負の連鎖の問題もございますし、もう一つは、いわゆる池田市、先端自治体としてどこまでやるのか、あるいは大阪府としてどこまでそれをサポートいただけるのか、こういう連携をしていかなければならない問題であろうと思います。
 ただ、我々は、そのことは国ですよ、あるいはそのことは府ですよと、そう言う前に、池田市民の中でそういうことに苦しんでいる方々がいらっしゃることは事実であり、それを認識できれば、まず先端自治体の役割として、これは教育委員会なのか、福祉なのか、それ以外の部署なのかわかりませんが、連携をとりながらお手伝いをしていく、これが先端自治体の責務であろうと。そういう認識のもとにこれからも取り組んでまいりたいと、このように思っております。以上でございます。

(再質問に対して) 多田議員さんの再度のご質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 特に、いわゆるニート、引きこもりの青年に対する家庭訪問の問題であります。問題は、先ほどもご答弁申し上げましたが、自立できない若者の発見、あるいは誘導の問題について、一方ではいわゆる人権問題との絡みが出てまいります。向こうからSOSが発信されてくれれば、これはもう非常に簡単なことなんでありますけれども、どの程度までお世話、活動ができるかということについて、やはりおかげさまで地域の見守り体制というのが充実をしてまいりました。今の段階では、いわゆる小学校に通っているぐらいの子どもたちをターゲットとした見守りでありますけれども、それをもう少し幅を広げた見守り体制ができて、いわゆるキャリアコンサルタント、あるいはおっしゃいましたような教職員のOBの先生方たくさんいらっしゃいますので、この間、教育委員会のタウンミーティングなんかでも、いわゆるこの引きこもり、ニートだけではなくて、子育てで悩んでいるお母様方に対して地域でそういうふうなご相談に応じていただける方、その一番ふさわしい人が教職員のOBの皆さん方であろうと。こういうふうな形の連携がとれるように進めてまいりたいと、このように思っております。